「新内節の発信と保存プロジェクト」は、伝統芸能アーカイブ&リサーチオフィス(京都市、京都芸術センター)の令和元年度「伝統芸能文化復元・活性化共同プログラム」に採択されました。伝統文化の多くが抱える、継承者の高齢化や減少に向き合いながら、どのように普及するかという課題に向き合います。
浄瑠璃発祥の地である関西からこの問題について考え、その情報を発信するとともに、音源等をアーカイブ化することを目的としています。
「新内節の発信と保存プロジェクト」の事業報告書と連続講座「新内節を語る」講話録が発行されました。
京都芸術センターを始め、各所で配布されておりますが部数に限りがございます。以下より、事業報告書はPDFでご覧いただくことができます。
本講座は、演奏家の方々をそれぞれのテーマでお招きします。現在の新内節と将来の展望について、実演を交えながら語っていただきます。
第一回「我が師を語る」
新内節の代表曲《蘭蝶》《明烏》を作った初世を継承する、当代鶴賀若狭掾を師とする、鶴賀流分家家元の鶴賀伊勢吉を講師に迎えて、芸を継承すること、また分家家元として太夫と三味線方の二つの立場で演奏を行う活動形態についてお話を伺います。
第二回「創作を語る」
新内節の演奏家は盛んに創作を行っており、なかでも昭和期に活躍した岡本文弥は生涯にたくさんの楽曲を作曲しています。第一部では、その岡本文弥に師事し、現在岡本流を継承しながらも創作活動に邁進している岡本宮之助に創作のプロセスを伺います。第二部では、日本を代表する音楽学者である細川周平をお招きし、新内節の現状について多角的に語り合います。
第三回「女流を語る」 ※10月に延期
新内節は「女流演奏」という言葉をあまり用いず、男女差なく舞台に上がります。長唄三味線出身の富士松菊子を講師に迎え、複数の三味線音楽を芸の教養とする新内節について話し合います。
特別編「新内節を語る」
新内節には楽曲の内容に応じていくつかのジャンルが存在し、新内節特有の「端物」、義太夫の楽曲が基になった「段物」、めでたい内容の「御祝儀曲」、滑稽な話の「チャリもの」など数多くのジャンルの楽曲が伝えられています。まず、第一部では、立誠地区のさらなる繁栄を願って御祝儀曲「子宝三番叟」を、京都在住の新内志賀社中による演奏でお聞きいただきます。第二部では名曲として知られる端物「蘭蝶」と段物「一谷嫩軍記」を東京在住の人間国宝・鶴賀若狭掾(鶴賀流11代目家元)と鶴賀伊勢吉(鶴賀流分家家元)が披露します。第三部のトークコーナーでは新内節の魅力についてお話しいただきます。
※こちらのイベントは中止になりました。YouTubeに動画投稿しています。
新内志賀大掾は、昭和期に活躍するとともに、新内節の研進派の家元としても活動しました。志賀大掾を師とした『志賀の語り』による志賀大掾の芸系の保存を行います。
伝承に使用される楽譜は、随時Instagramにて投稿しております。
京都市生まれ。幼少期より江戸浄瑠璃新内節を研進派初代家元・新内志賀大掾及び新派家元・富士松菊三郎に師事。小唄を里園派宗家・里園志寿栄及び里園志寿華に師事。
2012年研進派家元、並びに新内志賀の襲名を果たし、現在は一門の指導・育成に献身している。
本名の重森三果名義では、さまざまな文学をもとに脚色した作品や自ら書き下ろした楽曲を、新しい試みをもって精力的に発表している。
また数多くの映画・テレビ等に於いて邦楽指導、演奏出演するなど多岐にわたって活動をしている。